株式会社叶匠寿庵

第一回 郷の「キレイ」

2021/01/25

仕事の都合で、縁もゆかりもなかった滋賀に夫婦で引っ越して10年。

寿長生の郷へはもう何度行っただろう。いつも自転車で。

 

におの浜の湖岸から瀬田川沿いの遊歩道を気持ちよく抜け、ちょっと怖いカーブが続く立 木観音下を抜けて、広がる田園風景でホッと一息したところに、山城を思わせるような、郷の不思議な入り口がある。

そこからの坂が自転車にとっては最後の難関。

ギアを丁寧に換え、優しい木立の風と光に 応援されながら、なんとか坂を登り切る。

自分の体力に少しだけ自信が持てる瞬間だ。

駐車場に着くと、優しい笑顔が駐輪場まで誘導してくれる。その笑顔に強ばっていた肩の 力が抜け、こちらも笑顔になる。

そして、頑張ったご褒美は、お迎えどころでお茶と一緒に頂く「あも」(現在は残念ながら 新型コロナ対策から中止とか)。

 

私が普段、栄養サポートをしているアスリートやスポーツ愛好家に餡や餅好きは多いが、その理由がよくわかる。

運動で疲れた体と頭の回復にはまず吸収の良い糖質が必要だ。

同時に運動は感覚を研ぎ澄ます。平時以上にその「質」を感じる。

自転車は、「あも」の上質な甘みの後に来る素材の風味を、触感を、より堪能させてくれるのだ。

 

一息ついた後は、郷の探検。何回訪れても新しい発見がある。

一体どんな姿をしているのか色々妄想してしまうような蛙の声、今まで見たことない大きさの白く光るきのこ、想像以上に鋭く怖い山羊の眼、等々。

クマザサは「熊笹」ではなく「隈 笹」であることも、最初に郷を案内してくれたスタッフさんから教えてもらったことだ。

 

私達の愛すべき滋賀のサイクリングコース、寿長生の郷が、実は工場であり、本社でもあ る事を後から知り、こんな所で作られる和菓子、こんな所で働いている人たちに、より興味を持った。

今回、この「キレイ」プロジェクトに参加する機会を得て、「こんな所で働いている」メンバーに会った。

まず、彼女達それぞれの個性豊かな笑顔と明るさに圧倒された。 同行した私の研究室の大学院生は「若い人がはっきり自分の意見を言える雰囲気が良いです!」と一言。

「こんな所で働く」環境と、クオリティの高い「糖質補給」が、この笑顔と雰囲気を作っているのだろう、と勝手に想像した。

 

この人たちとこれから一緒に考え、形にする「キレイ」を色々想像し、私も自分の「キレイ」に少しだけ自信が持てそうな気がしている。

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