昔ながらの炭作りパート9
2021/12/03
3日後。
ついに窯開けの日が来た。自分でも驚いたがその間私は炭焼きの夢を何度かみた。
開ける瞬間は今回は全て灰になっているかもしれない、こういう時もある、そう言い聞かせながら蓋を開けた。するとどうだろうか、半分くらいは灰になってしまっていたがもう半分はきちんとした炭になっていた。さらに切ってみると全部に綺麗に菊の模様がでてくるではないか。その瞬間にようやくここ数日の不安が取れたような気がした。
失敗か成功かで言うと限りなく失敗に近い成功と言ったところだろうか。しかし今回色々なハプニングがありながらもなんとか炭にできたことはこれからも続けていく上ですごく大事な財産になったのは間違いないだろう。今回できた炭はこの郷でお茶席や屋台、囲炉裏など様々な場面で使われる。
この近代化された便利な世の中において、いまだにこの昔ながらの非効率で大変な炭作りをすることにどれだけの意味があるのか、それは分からないが、これを含めての「里山」である。ここに来られた方が少しでも心癒されて帰っていただけるような、そんな「日本人の心の故郷」のような場所。そんな里山になればいいなと切に願う。(はやし)