第十三回 保温の「キレイ」

第十三回 保温の「キレイ」

2022/12/12

 寒くなってくると、授業中の教室の温度をどうするか悩むことがある。
教室の前と後ろ、窓側と廊下側など、教室内の環境によっても温度差はあるが、それ以上に学生の身体が感じる温度の差が大きい。

 

 なんとなく、女子学生は暖房の温度を上げることを望み、男子学生はそれを暑がると思ってきたけれど、そうとも限らず、時々男子、特に細身の男子学生から「寒いです」と指摘されることもある。

 

 この体感温度の差はどこからくるのか? いろいろ考えられるが、ひとつは身体組成の差だろう。
筋肉は体温をつくり出す働きを担っているため、筋肉量が減ると体温が維持しにくくなる。
筋肉は少なくても体脂肪があれば温かいと思われがちだが、体脂肪は断熱材。

冷たい飲み物を入れたポットと同じで、体内の体温が低ければそれ維持する。

外気温を高くしてもなかなか体の中は温まらない。

 

 これからの時期、体温を維持する事は免疫力を落とさないためにも大切。

冬の筋肉量保持は体の保温のためにも欠かせないのだ。

 

 冬は寒いし、暗い時間が長くなるので、活動量が少なくなりがちだが、体温維持のためにも定期的な運動、特に筋肉を意識した運動は続けたい。

 

 食事としては、筋肉の材料といえば、たんぱく質だが、実はこのたんぱく質、食後に体温を上昇させる食事誘発性熱産生が高いことからも、冬の保温に欠かせない栄養素。

特に体温が低くなりやすい朝はしっかり、できれば温かく、たんぱく質源を補給することを勧めたい。

 
 さらに、保温という意味でおもしろい食材が生姜だ。
最近は体を温める代表的な食材として紹介されることが多い生姜だが、生の生姜は、辛味成分(ジンゲロール)により発汗を促し、体温を下げ、夏のむくみ対策としてすすめられている。

 

 一方で生姜は加熱や乾燥することで、この辛味成分の一部が体を温める成分(ショウガオール)に変化する。

体温保持のための生姜の使い方は、夏は生、冬には加熱、が基本となる。

 

 加熱となると定番の生姜焼きや、鍋や汁物にたっぷり入れるなどの食べ方があるが、最近私がはまっているのは、黒砂糖で作るスパイスジンジャーシロップ。

今も冷蔵庫に入っている。

 

 鍋に皮ごと薄く切った生姜(100g)に同量の黒砂糖(粉)を加え混ぜ、そのまま2時間ほど置いて生姜の水分が出たら、好みのホールスパイス(シナモン・黒胡椒・カルダモン・クローブ等)と水(400cc 程度)を加えて火にかけ、弱火で20 分程煮て火を止め、好みでレモン汁を少し加える。

粗熱が取れたら保存用器に入れて冷蔵庫で保存。

 

 炭酸で割れば大人のジンジャエール。

寒い時にはお湯、紅茶、コーヒー、ホットミルクやココアに加えると体が温まるのが実感できる。

薄切りの生姜とともに料理の調味料としても活用できる。

 

 先日、授業中寒そうにしている学生たちに、このシロップの作り方を伝えたところ、今まで生の生姜を擦ってお湯に溶かして飲んでいたという学生から「この授業、受けてよかったです!」と、初めて感謝された。

その勉強意欲も冷めないでほしい。

 

 

海老先生オリジナル スパイスジンジャーシロップ

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