株式会社叶匠寿庵

第十八回 お赤飯の「キレイ」

第十八回 お赤飯の「キレイ」

2023/11/17

 

 

 

 

 寿長生の郷「秋のあずき祭り」にちなみ、前回のおはぎに続いて今回は材料はほぼ同じ、お赤飯について。
 

 お赤飯。私はお祝いの華やかなイメージと、甘くない小豆と餅米を炊き上げた香り、ちょっと硬めの食感が子どもの頃から大好きで、家人も好きなこともあり、家では祝い事に関係なく、気に入ったお店のお赤飯を、日常の主食のひとつとしている。

 

 子どもの頃、お赤飯とおはぎの違いは、甘いか甘くないかだと思っていたが、父の故郷である岩手県に何かのお祝いで行った時、甘い不思議なお赤飯(と呼ばれていたが、決して赤くはない)に出会い、衝撃を受けた事がある。この時はまったく馴染めず、ほとんど食べずに帰ってきた。
 大人になって、この時のお赤飯は甘納豆を炊き込んだおこわで、北海道や東北地方ではよく作られていることを知り、それからは、完全に別物として食べられるようになったが、大人になってからこれを食べた家人の動揺は想像以上に大きく、いまだに二度と食べる気がしないと言っている。

 さらに地域によっては、小豆のお赤飯に相当な量の砂糖を入れる甘いお赤飯も存在すると聞いた。これはこれでどんなものなのか、ちょっとだけ食べてみたい気もする。

 

 さて、お赤飯というと、大学の教員になってからは、卒業式の日に簡単に電子レンジで簡単に作ったお赤飯を小さなおむすびにして卒業ゼミ生に配るのが恒例となっていた。これはもちろん、おめでとうの意味もあるが、もうひとつ、スポーツ栄養学の知見からの「救済」の意味もある。

 

 卒業式の日の卒業生、中でも女子は、朝早くから袴の着付け、卒業式の前後にはいろいろなところで写真撮影、その後急いで袴を返しつつ、卒業パーティー用の服装に着替えて会場へ移動と本当に大忙しだ。

 艶やかな袴姿で「朝から何も食べていない。朝からテンション上がっているからお腹も空かない」と、心配なことを言ってくるゼミ生が毎年何人かいるので、アスリートの試合日の補給と同様、腹持ちの良いお赤飯を、食べやすい二口サイズのおむすびにして、用意しておくことにした。

 中には、在学中にその顔見せてよ、と突っ込みたくなるような満面の笑みで喜んでくれるゼミ生もいる。

 コロナ禍で休止していた、卒業ゼミ生への赤飯おむすび。今年から復活しようと思っている。その中に甘いお赤飯を仕込んでみようかとも考えたが、どこまでシャレが通じるだろう。

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