第八回 寒さと「キレイ」
2022/02/12
先⽇、あるジュニア選⼿からこっそり 「あの・・・<きこ>って効くんですか?」 と聞かれた。
思い当たらず 「<きこ>? どんなもの?」 と聞き返すと、
「はい。プロテインみたいに飲む、⾃然の粉らしいんですけど。あ、<こうこ>って読む のかなぁ?」 と、
ここまで聞いて思い当たった。
「もしかして、⻩⾊の粉って書く?」
「そうです、それです! 何て読むんですか?」
「きなこ」
「え? な〜んだ! きなこかぁ・・・」 と、とても残念そうだった。
よっぽど特別な粉と期待していたようだ。
確かに⽂字だけ⾒れ ば「⻩粉」を「きなこ」とは読みにくいかもしれない。
ネットで「⻩粉」と⼊⼒すると、検索候補に「⻩粉 読み⽅」とちゃんと出てきた。
閑話休題。
今年は例年以上に雪が多く、寒い⽇がつづいているが、
この時期の「冬型栄養失調」という⾔葉を聞いたことがあるだろうか?
体が寒さに対抗するために、冬は多くのエネルギーを消費する。
意外に思う⼈もいるかもしれないが、個⼈差はあるけれど、
冬の消費エネルギー量は、夏と⽐較して10%増とも⾔われている。
この防御のため、寒くなると体はしっかりエネルギーを摂ろうと⾷欲が増し、
往々にし てこの⾷欲が必要エネルギー量を上回り体重増加ということもあるが、
冬はエネルギーとともに各栄養素の必要量が増すため、
⾷欲がエネルギー源ばかりに偏ってしまうと、エネルギーは⾜りているが、
各栄養素は⾜りないということになりやすい。
この冬特有の栄養素不⾜が、冬型栄養失調と呼ばれている。
寒くなると「なんとなく⼝内炎ができやすい」「まぶたのピクピクを感じる」
「髪が抜けやすい」「肌がいつも以上に乾燥する」
「傷が治りにくい」「疲れやすい」などが思い当たる⼈は、
この冬型栄養失調を疑ってみても良いかもしれない。
不⾜を特に注意したい栄養素としては、タンパク質とカルシウム、
マグネシウム、鉄などのミネラルと ビタミンB1、Eなどになるが、
これらをまとめて効率よく補給できる、⾝近な⾷品の⼀つが、実は前出の「⻩粉」。
⼤⾖を炒って粉砕した⻩粉は、⼤⾖の栄養素を消化よく補給できる。
⼤⾖特有のイソフラボンと⼀緒に摂ることができるのも魅⼒だ。
和菓⼦ではお馴染みの⻩粉。
他にもミルクやヨーグルトに⼊れたり、蜂蜜と合わせてペーストにしてトーストに塗ったりと、
⽇頃のごはんやおやつにもおいしく取り⼊れやすい。
前出の選⼿はがっかりしたようだが、⻩粉は、体づくりにも、寒さ対策としても、かなり特別な粉、なのだ。